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焚火の直火で出来るのか?アルミホイルでコーヒー焙煎!究極の苦味を体験せよ

コーヒー豆のこと

突然ですが、焚火って良いですよね。庭の掃除が出来て、焚火を見ていると癒されて、ついでに焼き芋も焼けて。

井の頭家ではこの時期、庭掃除からの焚火で焼き芋が定番です。 焼き芋は、アルミホイルで巻いて焚火に突っ込んでおけば美味しくなりますが、コーヒー豆はどうだろう?焙煎出来るのかしら?という好奇心から、焚火でアルミホイル焙煎をやってみることにしました。

まずは、落ち葉掃きからです。

2時間掛かって、1m程の落ち葉の山が出来ました。
さて、火を起こす前に、焙煎と焼き芋の準備をします。

HARIO(ハリオ) コーヒーミル ブラック セラミック スケルトン

税込¥ 2,330

※価格は異なる場合があります。

こちらが道具一式です。
左上から水を入れたやかん、焚火にかける網、焙煎した豆を入れる容器、燃料用のキャンドル、焙煎後の豆を冷ます用のざる、ざるに入っているのはアルミホイルと焼き芋用のさつま芋です。
左下からキャンプ用のマグカップ。4個重ねられて、持ち手も折り畳めるので持ち運びしやすいです。コーヒーを淹れるマキネッタ。ハリオのグラインダー。そして、手網ざる(生豆が入っています)です。

アルミホイルに生豆を包んだものを用意します。焚火焙煎に使用する生豆はインドネシアのマンデリンG-1です。
インドネシアのマンデリンは私がコーヒーを好きになったきっかけの豆です。大学生の時に、何か大人な飲み物が飲めるようになりたいとコーヒーを飲み始めたのですが、最初は全然美味しいと思えませんでした。そんな時に、渋谷の喫茶店でインドネシアのマンデリンを飲み、その美味しさに驚きました。香りが良くて、濃厚な香ばしさが口の中に広がり、苦味の中に奥深い甘みとまろやかなコク、そして柔らかな口当たり。それ以来コーヒーが好きになり、自宅で手網焙煎をするようになりました。もちろん、自宅の手網焙煎でも、最初に試したのはマンデリンの生豆です。

手網ザル遠藤商事 業務用 本職用丸型ギンナン煎り 本体:ステンレス鋼/柄:天然木

税込¥3,647

※価格は異なる場合があります。

アルミホイル焙煎がうまくいくか不安なので、手編み焙煎も合わせて用意しました。
手網焙煎用の手網ざるは、銀杏を炒る時のざるです。このざるは軽くて持ち手が持ちやすい太さなので、掴んでいて疲れません。コーヒー焙煎は10〜20分程かかるので、ざるの重さと持ちやすさは重要です。そして蓋が閉まるので、焙煎している間ざるを振っても生豆がこぼれにくいです。これくらいの大きさだと200g前後の焙煎にちょうどよいサイズです。

BIALETTI(ビアレッティ)直火式 モカエキスプレス 1カップ 1161

税込¥2,755

※価格は異なる場合があります。

焙煎したコーヒー豆は、最近お気に入りのマキネッタで味わいたいと思います。
ビアレッティのマキネッタはモカエキスプレスの2杯用です。モカエキスプレスはイタリアの一般家庭に一台はあると言われています。マキネッタで抽出するコーヒーはペーパードリップより濃厚で、コーヒー豆の特徴がよくわかります。
マンデリンG-1とマキネッタの相性も良いことを、つい最近再認識したところだったので、焚火焙煎のコーヒーではどんな味になるのか、期待が膨らみます。想像では、まろやかさと苦味に焚火の香りが加わって、最高の一杯が飲めるはず!

焚火の定番である焼き芋の準備も。さつまいもと安納芋をアルミホイルで巻きました。 うまくいくことを祈って、焚火の開始です。

今回、火おこしの燃料にコーヒー豆を使用したコーヒーキャンドルを使ってみました。
実は先日、冷凍庫の掃除中に3ヶ月以上前のコーヒー豆を見つけました。このコーヒー豆をキャンドルにしたら、焚火の燃料として使えないかと閃いて、作ったものです。コーヒー豆を細かく挽いて、よく燃えるように数粒のコーヒー豆をそのまま加えてみました。火をつけると、珈琲の香りがふわっと香ります。

キャンドルから落ち葉にしっかり火がついて、そのまま途切れることなく全体に素早く燃え広がってくれました。落ち葉が乾燥していたことも好条件でしたが、コーヒーキャンドルは期待以上に燃料としての役目を果たしてくれました。

焚火の火が落ち着いてきました。

焚火の下にアルミホイルで包んださつま芋と

アルミホイルで包んだ生豆を投入して、タイマーを測って様子を見ます。手網焙煎と違って、音も聴こえず、生豆の色の変化も見えないので、タイマーが命綱です。

10分後、少しずつ茶色く、まだらな感じで豆が色付いてきました。焚火の熱源に近い箇所の色付きが早いですね。

20分で確認したら、思ったより火が入ってなかったので、30分後です。
豆の色が茶色や黒などまだらで、こんなにも焙煎の深まり具合に違いが出てしまうとは。豆から脂がにじみ出ている深煎り豆もありますが、一部の豆はもはや炭…エスプレッソ用の極深煎りを通り越してしまったのでは。味がどうなっているか、不安です。

気を取り直して、手網焙煎に挑戦します。
ざるは常に回しながら、できる限り均一に豆に火が通るように、豆の変化を観察します。私はざるを回している時、ポップコーンを作っているような気分になります。

10分後、豆の色はまだらで、火が入っている豆と入っていない豆が入り乱れています。やはり焚火だと火の調整が難しいですね。気温が低いこともあり、なかなか火が通らないです。ただ、焚火の煙に包まれているのでコーヒー豆がスモークされているように感じます。コーヒー豆の香りにプラスに作用してくれるといいのですが。深煎りの黒く濃いコーヒー豆の色に近づけるため、焙煎を続けます。

豆の色付きがだいぶ濃く、黒くなったので焙煎完了です。火力アップのために落ち葉を追加して、燃え盛る炎の中で焙煎したので、豆の表面が焦げてしまったものもあります。でも、トータルでは豆はふっくらしていて、豆の表面には脂が出て照っています。これは、目指していた深煎りのコーヒー豆が出来たのでは。

そして、忘れちゃいけない焼き芋はほくほくに出来上がりました。

焙煎後の出来立てのコーヒー豆でコーヒーを飲めるのは、自家焙煎の醍醐味ですね。まず、問題作のアルミホイル焙煎から。

それぞれの豆の火の入り方にムラがあるので、飲むためにちょうど良さそうな色の濃い豆をピックアップしました。

グラインダーで挽くと、色は思ったより明るめの赤茶色です。もしかして、豆の中まで火が入ってなかったのかもしれません。挽いた粉からは、落ち葉で燻されたような香りがしました。

マキネッタを火にかけます。

珈琲の色は分かりにくいかもしれませんが、黒よりは濃い茶色で、落ち葉で燻されたスモーキーな香りがしっかりします。

カクセー SORA(ソラ) スタッキングマグ

税込¥1,273

※価格は異なる場合があります。

落ち葉に燻された香りが強烈です!強い香ばしさが鼻に直撃します。口当たりのまろやかさは一瞬で消えて、想像以上に苦いです。強烈な炭のような苦味のあるコーヒーが出来ました。出来立てなのに、こんなに味がしっかりしていることには驚きです。これ以上ない究極の苦味が味わえるコーヒーが出来ました。
ちなみに、お芋のふっくらして柔らかい甘みとの相性は悪くないです。むしろ、お芋の甘味も強烈で負けてない。アルミホイルで包むことで、食材の旨みや特性が凝縮されたのだと感じました。

続けて手網焙煎と飲み比べたかったのですが、陽が落ちてしまったのでタイムアップ。焚火の始末を済ませて、室内に移動します。

手網焙煎の豆をグラインダーで挽きました。照明の違いもありますが、手網焙煎の豆を挽くとアルミホイル焙煎より黒いです。

マキネッタの蓋を開けたら、アルミホイルの豆よりも落ち葉の香りが弱く、いつものコーヒーの香りがしました。色は墨汁の黒に近いです。

コーヒーの香りがとても良いです。落ち葉に燻されたのがわかる野生を感じる香りは、アルミホイル焙煎よりほのかで、一口含むと香りがやさしく広がっていきます。そして、まろやかな口当たりも感じられ、苦味の中に甘みもあります。一先ず、手網焙煎はマンデリンのコーヒーの美味しさを感じられる焙煎が出来たと思いました。

手網焙煎のコーヒーとアルミホイル焙煎を飲み比べてみると、手網焙煎のコーヒーは普段飲んでいるコーヒーに近く、落ち葉の香りがして、独特な美味しさでクセになる感じです。落ち葉の種類を変えたら、また違う香りがするコーヒーが出来上がるかもしれません。
アルミホイル焙煎は、落ち葉が燻されたスモーキーな香りが強く、究極の苦味コーヒーでした。

焚火で直火過ぎるコーヒー焙煎は、豆にまだらに火が入ってしまうことや、時間の調整など、想像以上に難易度が高く、相当時間がかかりました。でも、自然の澄んだ空気の中で焙煎して飲むコーヒーは格別な美味しさがありました。来年は手網焚火焙煎をメインに、もっと美味しいコーヒーが飲めるよう挑戦したいと思います。

Written by

ユアサイドコーヒー ライター

珈琲の仕事