焙煎士になったきっかけ~フレンチプレスのイエメンモカ

コーヒーのある暮らし

実は私、今でこそコーヒーに情熱を注いでいますが、つい数年前まで、コーヒーに全く興味がありませんでした。

ところが、あるコーヒーを飲んだことで、コーヒーに興味を持ちます。
それがフレンチプレスで淹れた、イエメンモカ。
このコーヒーがきっかけになり、自家焙煎の店を始めることになりました。

これがフレンチプレス。
実際に高円寺の店で使っていた、ちょっと大きめのタイプです。

当時私は、高円寺の端っこでとても小さなカフェを開業していました。
赤ワインと赤いモノが好きだったので、カフェロッソと名付けた小さなお店は、食事と手作りスイーツのお店。

開業以前は紅茶教室に通っていて、それなりに熱心な紅茶派だったので、コーヒーはあればいいかな、という感じ。
カプセルを入れてスイッチを押すと出来上がるタイプのコーヒーメーカーを使用していました。
当然ながら、コーヒーのオーダーはあまりなくて、ワインや紅茶、抹茶ラテやシェイクが人気のお店でした。

とある午後、コーヒーの業者さんが営業に来ます。
ポットに粉を入れてお湯を注ぐだけでコーヒーを煎れられる器具があります、と見せられたものがフレンチプレス。

紅茶用と広まっているけど、実は元々コーヒーの抽出器具です、という一言で少し興味を持ちました。

手軽だけど美味しいので、ぜひ試飲してほしい、とのこと。
普段営業さんが来てもお客様がいらしたり、仕込み中で手が離せなくてお断りしていましたが、
この時はちょうどノーゲスト。
ケーキをオーブンにいれて洗い物が終わった絶妙なタイミングだったので、試飲してみることに。

フレンチプレスにコーヒーの粉を計って入れます。
※当時の写真がない為、自宅撮影です。

お湯を注いだらコーヒーの香りがふわ~っと店内に広がったことを今も鮮明に覚えています。 コーヒーってこんなにいい香りがするの?と驚きました。

金具部分までを目安にお湯を淹れたら蓋のハンドル部分をのせ、タイマーを4分にセット。

タイマーがなったら、蓋のつまみを下へプッシュ。
金網部分が下がり、出来上がり。
本当に紅茶と同じ淹れ方です。

出来上がったコーヒーは、金網部分の上にあり、濁っています。

注いでもらったらコーヒーの香りがもういちど ふわ~っと広がります。

濁っているので苦いのかな、と思いながら口をつけてみたら、
華やかでコクがあり、優しい口当たり。
苦さは感じませんでした。

お湯を注いで待つだけなのに、香りも味も楽しめる。
そして何よりも、飲み終わってから口にコーヒーの味が残らない。

BODUM ボダム CAFFETTIERA カフェティエラ フレンチプレス コーヒーメーカー 350ml ブラック

税込¥3,297

※価格は異なる場合があります。

試飲したそのコーヒーは、イエメン モカの中深煎りでした。

この他にも飲みやすい中煎りのブレンドと、
もう1種類、どこのものか忘れましたが、深煎りでビターなお豆の計3種類を試飲。
最初に試飲した、華やかなイエメンが圧倒的に好みでした。

こんなに手軽で美味しく淹れられるなら、と早速導入を決め、
翌週からカフロッソのコーヒーをフレンチプレスのイエメンに変更しました。

これをきっかけに、コーヒーを淹れことが楽しくなり、私はコーヒーに興味を持ちます。

当時はちょうど、お店の今後をどうするか考えていた頃。
テイクアウト専門店、ベイクショップ、紅茶、ワイン・・・。
何かに特化したお店にしたいと考えていました。

もやもやする中、コーヒーの自家焙煎店でフランチャイズを募集する、という話を友人から耳にします。
そして見に行ったのが「珈琲や」です。

お店に入る前からコーヒーの香りがして、店内はさらにコーヒーの香りが満ちていました。

コーヒーの生豆が並び、焙煎機がたてるシャンシャンという音、
てきぱきと楽しそうに仕事をするスタッフさん。

頂いたブラジルのアマレーロが優しい甘さだったことを鮮明に覚えています。
コーヒーのこと、珈琲やのことを熱心に語る珈琲や代表の前田さん。
何か全てがしっくりきて、これまでなかったことですが、
私はこの仕事をするべきだと直感的に感じました。

一旦持ち帰って数日考え、やはり「珈琲やを始める」、と感じた気持ちは変わらず、
珈琲やのフランチャイズをする旨を前田さんへ連絡します。

カフェロッソは地元の方に買い取って頂けて、一安心。
その後珈琲やで焙煎士としての研修を重ね、
珈琲やになる決意した1年後に、珈琲やのフランチャイズオーナーになりました。

全くコーヒーに興味がなかった私が、コーヒーを仕事にしたきっかけ。
それが、フレンチプレスで淹れた、イエメンです。

コーヒー豆が持つ風味やまろやかさをそのまま楽しめるフレンチプレス。
最近では浅煎りのスペシャルティコーヒーを淹れる場面でよく見かけます。
浅煎りは少し高温のお湯で作ると、華やかさやフルーティさを楽しめます。

それでもやっぱり、私は中深煎りの香ばしいコーヒーをフレンチプレスで淹れるのが好きです。
フレンチプレス特有のこっくりした飲み口は、少し肌寒くなるこの時期、特にぴったりです。

Written by

ユアサイドコーヒー 編集長

焙煎士