コーヒー初心者が行ってみた!コーヒー豆の焙煎見学レポ

コーヒー豆のこと

コーヒーの知識をつけるぞ!と意気込み、まずは専門店でコーヒー豆を買うことにした私。
前回は、「珈琲や 三鷹工房」オーナーの岩田さんにピックアップしていただいた中からコーヒー豆を選ぶところまでをご紹介しました。
今回はその続編として、選んだ豆が焙煎される様子をお届けします。

まず、焙煎に欠かせないのが焙煎機。
こちらがお店で活躍中のものです。
自然と染み付いたコーヒーの色も相まって、どことなくスチームパンクっぽさを感じる渋さが醸し出されています。

この籠のような部分は「ドラム」と呼ばれ、右側には木製の持ち手がついています。この持ち手でドラムを持ち上げ、左側の投入口からコーヒー豆が投入されます。

その投入口がこちらです。
点火され、いよいよここから焙煎がスタートします!

フライパンなどとは違い、焙煎機は中の様子が分かりづらいように思いますが、どんな風に焼き上がりを判断するのでしょうか?
岩田さんによると、これには音・見た目・香りが基準になるそうです。
まず初めにコーヒー豆から水分が抜け始め、パチパチとした音が聞こえてきます。この段階は「イチハゼ」と呼ばれます。その次に、コーヒー豆からガスが抜けるチリチリとした音へと変化し、「ニハゼ」へと移ります。この作業と並行して見た目の確認が行われ、豆の種類にもよりますが、浅煎りの場合は香りによる判断も加わるのだとか。

ドラムの外からは中の様子が伺えないので、「豆サジ」を使用して、コーヒー豆のツヤやシワの伸び具合が確認されます。これだけでも大変な作業に思えますが、焙煎には、基本となる浅煎り〜極深煎りまでの7種類のほか、さらに細分化された度合いもあるとのことなので、コーヒーの奥の深さや、それを操るコーヒーのプロの手腕を改めて実感させられます。

今回は焙煎の様子を間近で見学させていただいたので、キッチンの中の様子も見ることができました。こちらは、キッチンに吊るされていた豆の産地の国旗と銘柄が書かれたクリップです。
今回は開店前にお邪魔したので私一人分の焙煎のみでしたが、通常は、 複数のお客さんが選んだコーヒー豆の焙煎が同時に行われます。
そのため、このクリップがどの焙煎機でどの豆が焙煎されているかをひと目で分かるようにしてくれているとのこと。焙煎機と同様に、こちらも豆から着色したと思われる自然な色合いがたまりません。

こちらは比較用にご用意してもらいました。
(上から順番に、深煎り・浅煎り・生豆)
コーヒー豆を選ぶ時に目にしていたものが写真一番下の「生豆」ですが、こうやって焙煎後の豆と並べてみると、さらに色の差がわかりやすくなりますね。こんなに色が変わるほどじっくりと焼かれるわけですから、豆独特の香ばしさにも納得です。
私が選んだ豆も今頃こんな色になっているのかなぁと期待を膨らませていると、遂に焙煎された豆との対面の時がやってきました。豆の良い香りが店内に漂います。

ラーメンの水切りの如く、焙煎機からザルへと手際良く移される豆たち。焙煎直後の豆は高温状態なので、少し離れたところからその様子を見守ります。焙煎中、焙煎機から灰のようなものがホロホロと出ていましたが、実は「シルバースキン」と呼ばれる豆の表皮で、雑味の原因になることも。焙煎中に出ていたものはごく一部のため、こうしてザルに移し、豆を冷却した後にふるい落とす必要があるそうです。

豆を冷ましている間も上記のクリップが大活躍します。これは私が注文した「チョコジャポンナチュラル」のクリップ。国旗からもわかるように、ブラジル産の豆です。

熱がある程度取れると、写真のように空洞になった豆や、色にムラのある豆などが手作業で取り除かれます。こちらも先ほどのシルバースキンと同じく、抽出後の風味に影響するもので、とても大切な作業なのだそう。言われてみれば確かに、袋の中に欠けた状態の豆を見かけることってないですよね。こういった手間暇がかけられていると知ると、より豆に愛着が湧いてきます。
この作業が終わった後は、袋詰めされて完成です。

出来上がった豆を受け取りました!
全工程を近くで見ていたせいか、熱は冷めているはずなのに袋越しに温かみを感じます。開封していなくても豆の良い香りがするので、出来立てのうちに飲みたいところでしたが、焙煎当日は豆からガスが出ているため、豆本来の味が楽しめないそうです。翌日以降から飲んでみてくださいとのアドバイスをいただいたので、
すぐにでも飲みたい気持ちをぐっと堪え、一晩待ってみました。

次の日。
袋に入ったままの状態でもそうでしたが、実際に挿れてみて気付いたのは、香りの違いです。抽出前も抽出中も抽出後も、いつまでも嗅いでいられるほど深い香りが続きます。肝心の味も、私がリクエストした通りの酸味の少ないあっさりとした飲み口で、シーンを問わず楽しめそうです。
これまではコーヒー豆の新鮮さなどを気にしたことがなく、コーヒーと書かれてるものをただ何となく飲んでいるというだけでしたが、新鮮な豆で淹れたコーヒーを知ったことにより、もっと知識を高めて美味しいコーヒーを楽しみたいという探究心がさらに強くなりました。

Written by

ユアサイドコーヒー ライター

翻訳家